2002年07月11日
ダイハツ工业株式会社
ダイハツ工业株式会社(以下ダイハツ)は、自動車の排気ガス中で貴金属が自己再生することによりほとんど劣化せず、フレッシュな触媒活性を維持し続ける自動車用触媒「インテリジェント触媒」を世界に先駆けて開発した。
この触媒は、高性能を维持しながら贵重な资源である贵金属使用量を大幅に低减できるとともに、触媒コスト削减も可能となる。
今后は、昨年実用化した罢翱笔础窜触媒に続く高性能?低コストな次世代自动车触媒として早期実用化をめざす。
现在利用されているほとんどの自动车触媒は、アルミナ等の表面に、排気ガス浄化作用を持つパラジウム?白金?ロジウムなどの触媒用贵金属を微粒子状态で分散保持させることにより、できるだけ大きな浄化面积を保ったまま长时间触媒机能を维持するように工夫されている。
触媒用贵金属の使用量は、全世界で排出ガス规制が强化され始めた1990年代初头から増加しているが、中でもパラジウムは、未燃ガソリン成分を低温から酸化させるのに有効であることから、他の贵金属よりも急速に増加している。また、パラジウムは、自动车用以外に歯科用、エレクトロニクス?ケミカル分野など、広い范囲で使用されている贵金属であり、効率的な使用が望まれている。
自动车用触媒は、常に800℃以上の高温にさらされ、かつ酸素センサーを用いて燃料喷射量を制御しているため酸化还元変动(酸素过不足変动)が常时生じており、触媒材料にとっては过酷な条件で使用されている。
このため、贵金属の微粒子がアルミナ等の表面を移动、合体することにより粒成长を起こし、有効な触媒表面积が减少することが触媒性能劣化の原因となっている。
なかでもパラジウムは、最も热に弱い贵金属のため、従来の考え方では使用量の低减は困难であった。
そこで、ダイハツは、ナノテクノロジーを駆使した触媒设计と调製方法を用い、特殊なペロブスカイト型结晶中にパラジウムをイオンとして原子レベルで规则的に配置させる技术を开発した。
これにより、パラジウムが、高温の酸化状态(酸素过剰状态)では金属イオンとしてペロブスカイト型结晶中に入り、还元状态(酸素不足状态)では结晶から出て金属微粒子となり、再び酸化状态になるとペロブスカイト型结晶に戻るという自己再生を繰り返し、金属微粒子の肥大化を抑制する新机能触媒の开発に成功した。
この技术により、パラジウムの耐热性が大幅に改善され、従来の触媒に比べてより优れた浄化活性と耐久性を维持できるようになり、パラジウムだけでなく、白金やロジウムなど贵重な资源である贵金属の総使用量を大幅に低减できる。また、触媒コストの大幅な削减も可能となる。
なお、触媒材料開発には、工学院大学教授(東京大学名誉教授)御園生 誠氏、東京大学教授 水野哲孝氏の協力を得ている。また、自己再生機能の科学的解析は、ダイハツ、日本原子力研究所、(株)豊田中央研究所、東京理科大学の共同研究によって解明され、その研究論文は、触媒開発に新しい設計概念を与えるものとして、7月11日発売の英国の世界的科学雑誌「Nature」に掲載されている。
【参考资料】
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